程久保村の藤蔵(とうぞう)と中野村の勝五郎の生まれ変わり物語は、東京都日野市程久保と隣接する八王子市東中野を舞台に、江戸時代の後半の文化文政期(1804~1830)に起りました。平成27年(2015)は、主人公勝五郎の生誕二百年にあたります。
人が生まれ変わるという伝承は、日本だけでなく世界各地に伝えられていますが、具体的な内容は次第に忘れられ、昔話や世間話という形で語り伝えられていることが多いのです。
「勝五郎生まれ変わり物語」は、当事者が実在し、生没年や住んでいた場所、墓所などもはっきりわかっているという点で、他の生まれ変わり伝承とは一線を画するものです。それは、勝五郎が語った内容を、当時の文人・役人・学者などが、同時期に記録し、その記録がずっと伝えられてきたという点にあります。そして、その記録は、明治になると小泉八雲の手で、海外に紹介されていきます。